
削らない虫歯治療と小峰一雄先生

小峰一雄先生について
日本の歯科医師・研究者。虫歯を「削らない・神経を取らない」治療法であるドックベスト療法を日本でいち早く導入し、治療の考え方と手順を体系化して全国の歯科医師へ普及させた。後進育成のため「削らない歯科医師の会」を設立し、臨床技術の向上にも取り組む。
TBS系テレビ番組「世界のスーパードクター」でも紹介。診療経験と研究をもとに、口の中の状態と全身の健康の関係に着目した治療や、食事・生活習慣の改善を重視した提案を行っている。
2004年には歯科医師仲間と「歯科内科療法研究会」を設立(後に「日本全身歯科研究会」に改称)。20年以上にわたり継続的に活動している。自然治癒力・削らない虫歯治療の永続的な発展考えて「削らない歯科医師の会」を設立した。
なぜ、削らない虫歯治療なのか
- 歯は削るほど弱くなるため
削ると歯の強度が落ち、欠け・割れ・再治療のリスクが上がる。 - 治療の連鎖を止めるため
詰め物・被せ物は劣化しやすく、やり直しのたびに削る量が増え、最終的に抜歯へ近づくことがある。 - 神経を守るため
深く削るほど神経(歯髄)に近づき、痛み・抜髄・感染リスクが高まる。 - 歯の自己修復(再石灰化)を活かせるため
初期〜中等度では、環境を整えることで進行を抑え、修復が期待できるケースがある。 - 原因(細菌・生活習慣)にアプローチするため
削るだけでは再発しやすい。除菌・清掃性の改善、食事や生活習慣の見直しを重視する。 - 体への負担を減らすため
侵襲(痛み・麻酔・治療ストレス)を抑え、通院や治療の負担を軽くできる。 - できるだけ自分の歯を長く残すため
短期的な穴埋めより、長期的な歯の寿命を優先する考え方。
削らない虫歯治療例
できるだけ削らないため物理的・次亜塩素酸水(パパイン酵素)などの科学的アプローチでう蝕を除去します。 Cu⁺(銅イオン)セメントで、取り除けなかった(できるだけ象牙質を残すため)う蝕部分を永続的に殺菌し続けます。
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削らないイメージ図

削る治療例
詰め物の周囲などから発生したう蝕(虫歯)を、健全歯質まで到達するようマージンをとって削っていきます。自歯が多く削られるため、抜髄・抜歯など歯の寿命に直結する処置へ発展しやすいのが特徴です。
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削るイメージ図

歯を削ると起きる心配
歯科用エアタービンは高速回転しています。エナメル質を削れるほど鋭利で切削・グラインド能力の高い器具です。エアタービンの普及は、歯科を刷新した器具でもあります。その高性能から発生する心配事項があります。
- 高速回転による微振動と熱
微細な亀裂(マイクロクラック)の発生 - 硬いエナメル質は衝撃で割れやすい
- 冷却水の温度差
タービンの摩擦熱で加熱。冷却水で急冷。 - 細菌感染のリスク
ヒビから細菌が侵入すると、虫歯や歯髄炎のリスクが高まります。




削った範囲が大きくなるほど
- 詰め物・被せ物が大きくなる(インレー →アンレー →クラウン)
- 歯質が薄くなり破折リスクが上がる
- 神経に近づき痛み・知覚過敏が出やすい
- 接着面が増えて再び隙間ができやすく、二次う蝕を繰り返しやすい
被せものの劣化イメージ図

歯の自然治癒力
削らない虫歯治療と再石灰化
けずらない虫歯治療は、歯を長持ちさせる治療です。ただし、きちんと理解して治療されていないと虫歯再発の問題が発生してしまいます。
象牙質内の再石灰化
- 虫歯除去う蝕除去
エキスカ・科学的処理(次亜塩素酸・パパイン酵素など)でしっかり、う蝕を取り除く。重要:この処理があまいと虫歯再発の原因になる。
- 除菌【重要】洗浄・除菌
う蝕を取り除く治療が中心の削らない虫歯治療。取り切れないう蝕部分の除菌はしっかり行います。重要:この処理があまいと虫歯再発の原因になる。
- Cu+
セメントCu+セメント+架台内部で再石灰化を促進するための処置(架台)と永続的に除菌し続けるCu+(銅イオン)セメントの処置を行います。
- 封止セメント・レジンで封止(仮封)
Cu+セメントで治療した上に封止をおこなう
- 再石灰化再石灰化
弱い殺菌力のCu+セメントの雰囲気(条件下)のなかで、ゆっくりと再石灰化がすすみます。除去する量によって、再石灰化の可能性が高いのですが、銅の殺菌力以上に細菌が残ると虫歯の再発を招きます。

神経(血管)を残す
歯も樹木と同じ様に、栄養が必要です。神経(血管)をとってしまうと歯の内側から供給されるミネラル・栄養が絶たれてしまいます。できるだけ、神経を残すことをおすすめします。

歯髄からの栄養供給


結果として「治療のやり直し(リトリートメント)」が繰り返され、最終的に抜歯へ至るケースも少なくありません。